扉の向こう
腕時計
「時計ありませんか」

「時計ですか・・どのようなものをお探しでしょう?」

「彼のしていた腕時計なんです。4ヶ月前に無くしてしまって・・」

「思い出の品ですか」

「たった一つの彼の遺品なんです。ここに来れば、何でも手に入ると聞いたんです」

「それでは、貴女は代わりに何を支払うことができますか?」

「あの時計さえ戻るなら何でも」


「・・・・・分かりました。では、お持ちしますので少々お待ちください」




















「こちらの時計ですね。間違いないですか?」

「・・えぇ、そうですね。ありがとう」

「おや、お持ち帰りにならないのですか?御代はいただきましたので貴女のものですよ」

「でもそれ、もう動いてないでしょ?直してまで使うものでもないですし、よければ引き取ってください」

「そうですか・・・・では、お気をつけてお帰りください」

「そうするわ、ありがとう」





「やれやれ・・・・・やはりこのような時計、なかなか買い取っていただけませんね
時計への想いと一緒に、誰かに買っていただくことにしましょうか」





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