%短編:侵された体%
ニャ~。
どこかで猫の鳴き声が聞こえる。
聞き覚えのある、甘えた声。
そうだ。これは、ミミの声。
助けて。
ミミ、助けて!
「ゆりちゃん、朝よ!起きないと遅刻するわよ!」
聞きなれたママの声で、あたしははっと目を開いた。
「マ、ママ?」
歪んだ視界に、不思議そうなママの顔。
「なぁに?中学生にもなって、まだ寝ぼけてるの?
今日は、朝練があるから早くおこせって言ってたでしょ」
「あ、そうだった!
大変!!」
今日は、テニス部の朝練の日だ。
あたしは、ベッドからずり落ちるようにして飛び起きた。
「ごはんできてるから、顔洗ってね」
ママはあたしが起きたのを確認すると、
台所へと降りていった。