%短編:侵された体%
風呂場の一件は、気づいたママに助け出されて、無事だった。
浴槽で転んだ、って笑い話にされたけど。
でも、次の日も、その次の日も。
おかしな出来事は続き、あたしは家に閉じこもるようになった。
あるときは、包丁で自分の手首を切り、
またあるときは、赤信号で車道に飛び出し、
そして昨日は、学校の屋上から飛び降りそうになった。
すべて未遂にすんだものの、
誰かが、あたしの体を狙っている。
それはもう、夢なんかじゃなかった。
恐ろしい、現実。
ママに話したけど、おかしな目で見られた。
そりゃあそうだろう。
あたしだって、自分の身に起こった事じゃなければ、信じられないに違いない。
あたしは真剣に、あたしの体を狙う、この見えない敵と戦わなくてはならないんだ。
たった、一人で。