%短編:侵された体%

あたしがこっそりと涙を拭っていると、

ん?

医師の声が頭上から降ってきた。


「あの、何か?」


ママが身を乗り出して、モニター画面を見つめる。


「う~ん。娘さん、ひょっとしたら、お腹の中に腫瘍があるかもしれませんね」


「えっ!腫瘍って、ガンですか?」


「いや、これだけじゃわかりませんから。もっと詳しく検査をしてみないと。

ただ、もしもこれが腹痛の原因だとしたら、手術が必要になるかもしれませんね」


突然の医師の宣告に、あたし以上にママが驚いている。


イロイロな説明を受けたけど、難しくてあたしはよくわからない。

とりあえず、検査入院しましょう、という言葉に従って、

いきなりその場で入院が決定してしまった。


「あ、あの!部屋は、一人じゃなくて、低い階がいいんですけど」


「どうしてだい?」




< 28 / 47 >

この作品をシェア

pagetop