%短編:侵された体%
あたしがこっそりと涙を拭っていると、
ん?
医師の声が頭上から降ってきた。
「あの、何か?」
ママが身を乗り出して、モニター画面を見つめる。
「う~ん。娘さん、ひょっとしたら、お腹の中に腫瘍があるかもしれませんね」
「えっ!腫瘍って、ガンですか?」
「いや、これだけじゃわかりませんから。もっと詳しく検査をしてみないと。
ただ、もしもこれが腹痛の原因だとしたら、手術が必要になるかもしれませんね」
突然の医師の宣告に、あたし以上にママが驚いている。
イロイロな説明を受けたけど、難しくてあたしはよくわからない。
とりあえず、検査入院しましょう、という言葉に従って、
いきなりその場で入院が決定してしまった。
「あ、あの!部屋は、一人じゃなくて、低い階がいいんですけど」
「どうしてだい?」