%短編:侵された体%

人前で、侵略者が姿を見せない--まぁ、ここで言うのは、頭の中に声がすることだけど、

のは、明らかだった。


決して一人にならないように気遣うと、

うそのように体の自由を奪われることがなくなった。


だから、手術中に体を乗っ取られる可能性は、きわめて薄い。


「一緒に頑張ろうね」


看護師さんの笑顔に、あたしはコクリと頷いた。


麻酔をかがされて、数を数えるように言われ、

あたしは数を数えた。


「一、二、サン・・・」


ヨン、ゴ、ロク、シチ、ハチ。


ハチ。


八歳。


唐突に、ミミを拾ったときのことが、色鮮やかに思い出された。

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