%短編:侵された体%
ミ~、ミ~。
それは、学校帰りのことだった。
か細くなく声の主を探して、あたしはキョロキョロと辺りを見渡した。
「あ、子猫だ!」
産まれたばかりの子猫が一匹。
ダンボールに入れられて、ゴミ捨て場に置かれていた。
「かわいい」
暖かいぬくもりとは対照的に、
子猫はぶるぶると震えて、つぶらな瞳を向ける。
どうしよう。
ママは猫が嫌いだし、連れて帰ったら怒られるよね?
でも。
迷うあたしの頭の中で、突然、はじかれたような声がした。
『連れて帰ろうよ』
え?
今の、何?
『かわいそうじゃない?
ママに頼めばきっと許してくれるよ?』