%短編:侵された体%

フギャァ~!!


ミミが銀色の長い毛を逆立てて、戸棚の上から私を威嚇する。

しばらくにらみ合った後、私はふっと笑みをこぼした。


「ミミ。あんたも恩知らずな猫だね。

私が拾うように提案しなかったら、

その辺の道端で飢えて死んでたんだよ?


ほら、おいで?」


その柔らかい毛並みをどうしても一度撫でてみたくて、

私はゆっくりと近づき腕を伸ばした。

とたん。


シャァ~!!


「つうっ!!」


鋭い爪が、私の掌に食い込む。


そのままミミは、私の頭を飛び越えて逃げるように走り去った。


滴り落ちる鮮血を眺めると、体の奥から快感がほとばしる。



あぁ、これが痛みっていう感覚か。



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