%短編:侵された体%
「次!」
「はいっ!」
球出しをしてくれる相手から、右に左にボールが飛んでくる。
それを前衛守備をしている相手の脇を抜くようにして、打ち返す練習。
あたしの部活は軟式テニス部。
今年は、来月行われる新人戦でいいとこまで行くんじゃないかって期待されていたりする。
一応あたし、1年生の中ではレギュラー予定。
なんで、テニス部に入ったかというと。
あたしは、隣のコートで球出しをしている田口先輩をちらりと盗み見る。
「次!」
「はいっ!」
いけない。
あたしの番がきた。集中しなきゃ。
グリップを握り、腰を落として構える。
バシン、と音がして、勢いよく球が飛んできた。
よし、いける!!
予想したコースに向かって、あたしは足を踏み出した。
そのとたん。