女心と秋の空〜ツンデレ彼女の涙の秘密〜

「じゃ、私先行くから。早く帰ってゲームしたいし」


そう言うと雪村は突然走りだした。

って、おい!

折角気持ちに気付いたってのに、オレ、ゲームに負けたーっ?


肩を落としてうなだれる。

そうだよな。

雪村にとっちゃオレなんかただ隣に座るクラスメイトだもんな。

相合傘したからって、別に雪村はオレのことなんか何とも思ってなくて。


「だっせー」


今日はそんなことの連続で、口癖となってしまった言葉もオレにはお似合いじゃねーかなんて思ったり。

妙に明るくなった辺りに目が霞み、遥か彼方の地面に目線を移すと、


「また明日ねー!」


耳に届いた雪村の言葉にすぐに顔を上げる。

手を振る姿が見えたかと思うと、あっという間にオレの視界から消えていった。


慌ただしい奴。


「また、明日……か」


薄暗くなってきた道を、水溜まりを避けながら慎重に歩いていく。

また、明日。

そうだ、そうなんだよな。

明日学校に行けば、隣に雪村はいる。

いつも外を見ていた彼女。

涙目になっていた彼女。

それが気になって、彼女を眺めていたオレだけど。

どうやら、別の意味で気になり始めたらしい。


はぁ……。

孝允の言ってたこともあながち間違いじゃないってことか。


隣に座る彼女。

雪村。

授業中は先生に気づかれないようにこっそり見よう、と心に固く誓ったオレ。


って、やっべー!!

何かめちゃくちゃ好きな気がしてきたんだけど!!



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