女心と秋の空〜ツンデレ彼女の涙の秘密〜
「ギャハハハハ〜! 慧吾マジうけるわぁ」
HRも終わり下駄箱で靴を取り出していると、親友の孝允が肩を叩きながら腹を抱えて笑ってきた。
「うっせーな」
オレは上履きを脱ぎながら孝允を睨み付ける。
「それにしてもお前が雪村のこと好きだったなんてなぁ。言ってくれないなんて水臭いぞ、こら!」
「はぁ? 違うって。ただ気になるだけだよ」
靴に履きかえて、孝允の言葉を否定しながら歩きだす。
「だ〜か〜ら〜、それが好きってことだろ〜」
「違うっつーの! あいつの涙が気になるだけなんだって!」
「はっ? 涙?」
まるで鳩が豆鉄砲をくらったかのように驚いた様子の孝允。
「そーだよ。あいつ、気づけば外見てて、しかも涙目なんだよ」
そうなんだよ、今日も外見てたんだよ。
涙目だったんだよ。
一体雪村に何があるっていうんだろうか。
ふと気付けば孝允はオレの言葉に足を止めて、口を開けて何とも間抜けなアホ面をしていた。