白と青の境界線

「どうしたの? ボーッとして」

「えっ?」

「麻央にしては珍しいねー」


その声をきっかけに我に返った私は、今いる状況を思い出した。

何してるんだか……。


お客様を乗せた飛行機は離陸し、ベルトのサインが消えた後の機内ギャレーの中、すぐ様ドリンクサービスへと取りかかるCAたち。

気が抜けないはずなのにボーッとしてしまったのは、きっと……。


「日向」

「ん?」


すでにギャレーを出ようとしている日向は、振り返り首を傾げた。


「ごめん、何でもない」


私は一体何を言おうとしているのだろう。

担当ポジションを変わって欲しいだなんて、そんなことできるわけがないのに。



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