白と青の境界線
羽田から関空へ向かう週末の午前の便はほぼ満席に近い状態で、機内は様々な客層で賑わいを見せている。
スーツを着たサラリーマンにOL、親子連れにカップル。
それぞれの想いを乗せて、飛行機は目的地へと向かう。
「私はオレンジジュースで、彼はホットコーヒーね」
「かしこまりました」
笑顔で順番にドリンクサービスを行いつつも、内心は平静ではいられなかった。
近づくたびに胸の鼓動が早くなり、まるで酸素がなくなっていくかのように息をするのが苦しい。
「こちらがホットコーヒーです、どうぞ」
「あっ、はい」
「オレンジジュースです」
手渡す手が震えないように、指先まで神経が届くように、精一杯気力を振り絞る。