白と青の境界線
そうして別れた後でも、例えどんなことがあったとしても、日常は何一つ変わらず訪れる。
一日の始まりは今日のフライトスケジュールの確認からで、鏡に映る曲がったスカーフを整えながら気持ちを切り替えて、背筋を凛と伸ばし緊張感をもって顔を引き締める。
「おはようございます」
作り笑顔で挨拶をしていく様は自分の心情を考えると滑稽で、だけどこれも仕事だと割り切れば何なくこなせる。
誰も気付かない。
気付かせたくなんかない。
笑顔の仮面を被っている私のことなんて。
そして、心に潜むこの塊の存在にも――。