白と青の境界線

気合いを入れて立ち上がり、右手拳を握り締めた日向は、


「私の気持ちをこれっぽーっちも分かってくれない彼なんか知らないっ!!」


今朝の怒りが再び込み上げてきていた。

その話題に乗る二人を横目にして、私は視線を落とし名刺に目をやった。


樋口伶耶、か……。

懐かしい響きが心を震わす。

何の迷いもなくバカやって楽しんでいたあの頃。

男も女も関係なく、遊んでいたあの頃。


「で、麻央さん?」

「あっ、何?」

「いつ合コンできるか聞いてもらえます? 私たちの予定はえーっと……」


言われたことを頭に暗記して、軽く息を吐いて席を立つ。


「分かった。連絡してくる」



< 34 / 60 >

この作品をシェア

pagetop