白と青の境界線
気合いを入れて立ち上がり、右手拳を握り締めた日向は、
「私の気持ちをこれっぽーっちも分かってくれない彼なんか知らないっ!!」
今朝の怒りが再び込み上げてきていた。
その話題に乗る二人を横目にして、私は視線を落とし名刺に目をやった。
樋口伶耶、か……。
懐かしい響きが心を震わす。
何の迷いもなくバカやって楽しんでいたあの頃。
男も女も関係なく、遊んでいたあの頃。
「で、麻央さん?」
「あっ、何?」
「いつ合コンできるか聞いてもらえます? 私たちの予定はえーっと……」
言われたことを頭に暗記して、軽く息を吐いて席を立つ。
「分かった。連絡してくる」