白と青の境界線
手にした名刺とトレンチコートの下のバッグ。
明るく暖かな店内から、街灯に照らされた外に出る。
相変わらず吹き付ける風は肌寒くて、空は雲で覆われて月の明かりさえ見失っていた。
携帯電話を開き、名刺に書かれた番号を押してゆく。
震える指先。
高まる鼓動。
ドキドキと可愛いものじゃない。
蘇るあの頃の記憶。
仲の良い友達を演じて、孤独に怯えていた……そんな自分。
「もしもし伶耶? 麻央だけど」
初めて聞く電話越しの声は別人のようで、少しだけ落ち着きを取り戻す。
軽い挨拶を済ませて伶耶の話を一通り聞き、そして本題に入る。
喜ぶ伶耶とは違い、私は憂鬱な気分に苛まれた。