白と青の境界線

どうしてあの時、あんなにも感情的になったのだろう。

何でいつもみたいにうまく切り返せなかったのだろう。


「麻央悪い、遅くなってごめんな」


それは今も痛むこの胸が知っているのだろうか……。

それでも日向と同じ笑顔を浮かべる。


「ううん、大丈夫」


伶耶たちと合流した私たちは、彼らの案内で近くの小洒落た店へと入っていく。

予想はしていたものの日向は私の隣で、圧迫された息苦しささえ感じる。


できることなら来たくなかった。

誰にも気付かれないようにため息を吐いて思う。

折りを見て抜け出そうと。


「かんぱーい!!」


とりあえずは幹事という立場から、場の雰囲気を下げないようにいつも通りに振る舞う。

そんなこと容易い。



< 43 / 60 >

この作品をシェア

pagetop