白と青の境界線

「あっ!! 麻央聞いてくれる?」


そんな私の心情を知らないからなのか、いや、きっと知らないだろうけど、


「彼がね、仕事と俺とどっちが大事なんだよって言ってきたんだよね」

「何それ。そんなこと言うなんて馬鹿げてるし」

「でしょ!! 私はこの仕事も彼のことも比べられないぐらい大事だって言うのに。ちーっとも分かってくれないのよ、あいつは」


どんなに抑揚のない素っ気無い返答をしても、顔を合わせればこうして話を振ってくる。

彼の話はもちろん、家族や友達、そして仕事のこと。


日向は私に隠し事などない、そう思うほど次から次に話を振ってくるんだ。



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