白と青の境界線
「ごめんね」
呟く言葉も閑散とした街では響き渡る。
少しの沈黙さえ嫌になるほど。
「私は……入社してからずっと麻央のこと見てきた。誰よりも先に困っているお客様に気付くとことか、細かい配慮までできるとことか。それぞれの機長の好みを覚えていてドリンクを持っていくとことか……。愚痴を何一つ言わずに仕事している麻央のこと、本当に憧れなんだよっ!! 私も麻央みたいになりたいって思ってたんだよ!!」
ポロポロと涙を流しながら喋る日向を見ていると、私の頬にも何かが伝った。
それを手で拭う。
あの日流した以来、ずっと忘れていたもの。
一度流れだした涙は止まることを知らず流れてゆく。