白と青の境界線

「そんな麻央と仲良くなりたくて……だけど、迷惑だった? 嫌だったの?」


気付けば無意識に日向を抱き締めていた。

やっと……、踏み出した。


「ごめん、迷惑なんかじゃない。嫌じゃなかったよ」

「麻、央……?」

「私ずっと逃げてた。慕ってくる日向のこと嬉しかったのに、もし信じて裏切られたら……って思うと、怖かったんだ……」


日向のこと好きなんだ。

だからこそ、怖かった。


信じている人に裏切られるのはとてもつらいから。


伝わる温もりに安心を覚える。

追っても追っても誰一人見つけられなくて、追うことを諦めていた私が、ようやく捕まえた。



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