白と青の境界線
「麻央のバカッ!!」
離れた体で二人で見合う。
「……フフッ、ひどい顔」
「そういう日向だって」
涙でグシャグシャの顔に笑みが零れる。
こんな風に心から泣いて笑って、どこかに置き去りにしていた感情が戻ってくる。
「少しは私のこと信用してよね、麻央」
「うん……本当にごめんね」
いつの頃からか、そこにあるものから目を逸らして、自分自身が見つけようとしていなかったのかもしれない。
手を伸ばせば届く距離にあったというのに。
「ってか、今更店に戻るのも恥ずかしいし、二人で飲みなおさない?」
「そうだね、日向にもいろいろと話を聞いてもらいたいし」
信じなければ捕まえられない。
諦めたらそこでおしまい。
見えないだけで本当は、至る所にいるのだろう。
信頼できる人たちは。