【K.A】アリスに魅せられて。
反射的に目を閉じる。
瞳を閉じた途端に訪れる闇。
…あれ?痛くない…
恐る恐る目を開けてみる。
そして、
あたしが目を開けたとき世界は変わっていた。
「な、なに…これ…」
あたしは宙に浮いていた。
落ちている…みたい。
ゆっくり動いている。
それとも速いの?
時間の流れがわからない世界。
肘掛け椅子がゆっくりと上へ上がっていく。かと思ったら今度はティーカップやリンゴが下へ流れて行った。
唯一解るのは光があるということだけ。
どこからでているのか分からないけど、ちゃんと見える。
カツン…
足に固い物が当たり、地面に足がついた。
「…っえ」
さっきまで地面はずっと下だったのに。
あたしはつるつるした黒と白の正方形型の大理石が順番に並んでいる床に立っていた。
ぱっと上を見ると、おかしなことに入ってきたはずの穴がない。
輝くシャンデリアのある白い天井があるだけだった。
どこなの、ここは。
ウサギは…!?
「ああ時間がない…」
あたしへ返事でもしたかのようにまたウサギの声が聞こえた。