先生と王子様と演劇部な私。
 中に入ると広いロビーになっていて、受付に綺麗な女性が立っていた。


「あ! お疲れ様です」

 朗先生を見た受付の人は、顔を赤らめて挨拶してくる。

 ……って、お疲れ様です?


「あぁ、どうも。ちょっと寄っただけだから」

 朗先生が素っ気無く答えると、受付の人は後ろの私を見つけて怪訝そうに首を傾げた。何か言いかけたところで、朗先生が私の背中に手を置いて奥へ促す。


 押されつつ振り向いてみると、受付の女性がジーッとこちらを見続けていた。朗先生のことが好きなんだろうなぁ、とありありと分かる顔だ。


 それにしても、朗先生とここって何なんだろう? キョロキョロ見渡してしまう。


「あんまりキョロキョロするな」


 朗先生はそう小声で言うと、奥の扉に入って行った。



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