先生と王子様と演劇部な私。
 堀木戸さんはパァァッと顔を輝かせると握手、と手を差し出してくる。

「俺、堀木戸平(ほりきどたいら)。朗の親友、よろしく!」


 ペシッ。


 堀木戸さんのその手は朗先生にはたかれてしまった。堀木戸さんはキッと朗先生を睨む。

「お前! メールに"生徒連れてく"って書くだけじゃなくてさぁ、女の子だって言えよ! 来る気分が違ったのに! しかもこんな可愛い子だなんて~」


 最後のセリフだけは私の方を見てニッコリ笑顔。……軽い。




 ――この人が王子様? 確かにすっごくカッコいいけど、なんかちょっとイメージと違う……。



 私は首を傾げてしまった。


「まぁ、座らせろ」

 朗先生はそう言って私を奥に座らせ、自分は堀木戸さんの正面に座る。


「あ、仲舘柚子です」

 一応ぺこりと頭を下げた。

「柚子ちゃんかぁ、本当は俺の生徒だったかも知れないんだね~」


 へ……?


「あれ? 知らない? ホントは由美ちゃんの代理、俺だったの」
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