先生と王子様と演劇部な私。
「なるほどね。でも、何でそんな自信なさげに聞くのかな? 顔とか見て分からないもの?」


 堀木戸さんはもう一度写真を見ながら言う。

「あ、聞かれて迷惑だって言ってるんじゃないよ?」

 うな垂れた私を見て、慌てて堀木戸さんが笑顔を向けてくれたので、すいませんと謝った。



「正直、顔がハッキリ分かるわけじゃないんです。ふいの顔とかは覚えてるけど。だから堀木戸さんを見ても、自信はないんです。舞台の王子様を演じてる姿は凄く記憶に残ってるんですが」


 私のことは覚えてないという前提でそう言うと、堀木戸さんは少し驚いたような顔をした後、楽しそうに笑った。



「へぇ、そうなんだ。……じゃぁ演じてあげるよ、王子様」


 ――え?


「もうすぐ学園祭でしょ? 見に行くつもりだったし。学園祭終了後の舞台使って、ワンシーン演じてあげるよ」


「……いいんですか?」



 思いがけない言葉に、思わず身を乗り出した。
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