先生と王子様と演劇部な私。
「いいよ。だって、見たら分かるなんて、楽しそうじゃん」


 堀木戸さんが、意地悪そうに目を細めた。朗先生とは違う、少し何かを含んだ目。



「俺さ、万年二位だったんだ。中学から演劇部だったんだけどね」

 堀木戸さんは私に写真を返しながら、小さな声で言った。

「高校三年でやっと、王子様役になれたわけ。だから、王子様役には自信あるよ。もう一回演じることになるとは思わなかったけど」


 堀木戸さんはそう言いながらパチッとウインクする。まるでアイドルを目の前で見ているかのようだ。

 朗先生と違って、ルックスを最大限前に出している。学校でもこれだったら、女子生徒の騒ぎ方が半端じゃないだろうなぁ。私も間違いなく追っかけていたと思う。



 ……朗先生を知らなければ。




「話は終わったか?」

 丁度そこへ、朗先生が戻ってきた。手にはポテトと飲み物を二つ持っている。


「おー、朗気が利く! 腹減った~」

「お前のじゃねーよ」
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