先生と王子様と演劇部な私。
 つい、正直に答えてしまった。


「ライバルかぁ、それって恋? 部活? 勉強?」

「ほ、堀木戸さんはどんなライバルがいましたか?」


 恋、と答えるのは何だか恥ずかしくて無理やり質問に変えてみた。

 そんな私の気持ちを察してくれたのか、堀木戸さんはん~、と顎に親指を充てる。


「こないだチラッと話した俺が演劇部で万年二位って話覚えてる?」


 それって朗先生が席を外している間に聞いた話だよね。こくり、と頷いた。



「万年二位の俺がいたってことは、いっつも主役取ってたやつがいるってことね。中学から一緒でさ、そいつと俺は先輩を追い越して役取ってたんだけど、主役はいつもそいつなの。中学でもこの学校でもそいつが一年の後半から主役で。俺は準主役」


 やんなっちゃうでしょー、と堀木戸さんは大げさに肩を上げてみた。


「こいつがいなければ、って何度も思ったけど、俺そいつのこと基本的に大好きだし」

 フフフ、と堀木戸さんが困ったように笑う。ライバルを大好きだなんて言って笑えるのって、凄いな……。
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