先生と王子様と演劇部な私。

「で、迷惑なのは俺よ？　毎日愚痴聞かされたんだよ？　毎日よ？　マジ辛かった！　呼び出し強引だし。何度デートを棒に振ったことか……」


　こないだの電話の呼び出し方を思い出し、堀木戸さんの苦労が分かった気がして笑ってしまった。あれは、確かに酷い。


「柚子ちゃん、笑い事じゃないよ～！　そんなやつが生徒を守るだよ？　おかしくない？」


　堀木戸さんがグイッと身を乗り出してきた。って言うか、それ生徒に話す内容じゃない気がするんですけど……。呆れて笑うしかなかった。


　バシッ。また後頭部からいい音がする。

「お前、近い」

「っだよ！　ヤキモチ妬くなよ？」



　ヤキモチ……？　ちょっとドキッとして堀木戸さんとともに返事を待ってみたけど、朗先生は無言。



「ちっ。お前が何で先生引き受けたか分かった気がするぜ」


　朗先生は返事の変わりに一睨みした。ピシっと空気が凍った気がするけど、堀木戸さんはいつものことなのか、プイッと横を向く。