先生と王子様と演劇部な私。
「彼氏にこの喫茶に入り浸ってもらえばいーじゃん。そのメイド服、似合ってるよ」


 それを聞いたエミはパッと笑顔になって、携帯でメールを打ち始めた。今すぐ来て、とでも打ってるのかなぁ。ぼんやりそう思って、ふと、朗先生は携帯番号やアドレスを教えてくれるだろうかと、少し不安になった。



 キスされたけれど、好きとか言われたわけじゃないし……全部一人よがりだったらどうしよう!



 突然青ざめた私に、今度はエミが慌てて、どうしたの? と心配してくる。




「朗先生ぇ~」


 甘ったるい声が耳についた。山野の声だ。

 振り向くと、メイド服を着た山野が朗先生の腕を掴んでいた。朗先生は目もくれず、あぁ、と適当な感じで返事をしている。最近大人しかった山野だけど、学園祭でテンションが上がっているらしい。



 朗先生と目が合った……瞬間、朗先生が少し驚いた顔をして目を逸らす。
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