先生と王子様と演劇部な私。
 え? 私は自分の姿を見る。メイド姿、変だったかな……。黒地のワンピースにフリフリの白いエプロン、頭にはレースの付いたカチューシャ。

 簡易なメイド服だけど、着てみて結構気にいってたんだけど。それとも、いつも緩い(ゆるい)おさげにしてるのを下ろしてみた、髪形がおかしい? 私は服やら髪をペタペタと触ってみた。


 視線を感じてパッともう一度朗先生を見ると、また目が合って、目を逸らされる。いつものようにこっちを見てたくせに。何か変な感じ。


「先生ぇ、似合ってる?」


 山野が媚びた調子で、朗先生の前で首をちょん、と傾げた。むかつくけど可愛い。メイド服似合いすぎだっつーの。一生メイドしてろ。なんて心の中で悪態をついてしまう。


「……さぁ」


 珍しく朗先生が、あぁ、以外で返答をしてる。

 さぁって、肯定してないし。思わず小さくガッツポーズをした。エミも一緒にガッツポーズをしてくれている。


 山野も肯定されなかったことが分かったらしく、口を尖らせると友達を引っ張ってスタッフスペースのカーテンから出て行ってしまった。ざまぁみろっ。
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