先生と王子様と演劇部な私。
「僕のことは、王子様って呼んで欲しいな。そして君たちは僕のメイドさんたちね」

 その男の人はサラッとそんなことを言っている。


「王子様ぁ」


 おいおい、みんな目がハートだし。

 確かにあのルックスであんなこと言われたら、誰でもハートが飛ぶけどね。



 そう、そこにいたのは堀木戸さんだった。


 黒いゆったりしたニットに細身のパンツを履き、長い足を組んで優雅に座ってる。

 女子たちにウインクしたり、微笑んだりでサービス精神旺盛だ。ホントに女子高生好きですね、王子様。

 どちらかと言うと王子様というより、アイドルって感じがするけど。


「あ、柚子ちゃん!」


 堀木戸さんが私に気が付いて声を掛けてきた。途端にみんながパッと私を見る。


「柚子知り合い?」
「いいなぁ」
「なんでなんで?」


 口々に聞かれて困ってしまった。朗先生との関係を話すわけにいかないし、何て説明すればいいんだろう……。
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