先生と王子様と演劇部な私。
「俺、演劇部のOBなんだ。だから柚子ちゃんは後輩なんだよね」

 ね、と同意を求められて頷いた。なんて無難な返答。心の中で堀木戸さんに拍手を送った。みんなも納得してくれたらしい、良かった……。
 

「あ、柚子ちゃん、ちょっと保管教室に連れてってくれるかな?」


 堀木戸さんが立ち上がると、みんなが残念そうに声を上げる。

「ごめんね? また戻ってくるから待ってて、僕のメイドさん達」

 堀木戸さんはみんなにウインクをして、教室から出て行ってしまった。私は「メイド喫茶やってます」というダンボールに書かれた宣伝を背中に背負わされ、堀木戸さんの後を追う。

 連れて行って、なんて言いながら、やっぱり先に歩くのは堀木戸さん。


「柚子ちゃんもメイド服可愛いね~」


 歩きながら堀木戸さんが満面の笑顔で褒めてくれるので、少し照れてしまった。褒められるってやっぱり嬉しい。


「口説くな」


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