先生と王子様と演劇部な私。
 私と堀木戸さんがビックリして振り返ると、朗先生が真後ろにいた。


「うわ、朗、いたのかよ」

「あぁ」

「お前って、……の……カー?」

 堀木戸さんが朗先生の耳元で何かを言って、ケラケラ笑う。朗先生は眼鏡越しに冷たい目で堀木戸さんを睨んだ。


「衣装の教室、鍵掛かってるけど?」


 そんな態度でいいのか? という顔で朗先生はチャリチャリと、指で鍵を回した。そっか、さすがに人が出入りする日は鍵を掛けてるんだ。


「あれ? 何でこれから行くこと知ってんの?」

「あんだけ騒がしければ分かる」

「さすが朗」

 堀木戸さんはおどけて朗先生の肩を組もうとして、サッと避けられる。そんな二人のことをみんな興味津々で見ていた。


 そりゃ、こんなイケメン二人が歩いてたら誰でも見るよな。私は少し後ろから歩きながら眺めていた。

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