先生と王子様と演劇部な私。
 足長いな~、背高いな~。こんな二人と一緒に歩けるなんて、幸せなことだよねぇ……なんて思っていたら。


「ねね、柚子ちゃん。ご主人様って言ってみて?」

 振り向きざまに手を合わせた堀木戸さんに、そうお願いされた。


「何か御用ですか? ご主人様?」

 両手をスカートの前で合わせて、肩を少し上げなら首を傾げて言ってみる。これでも演劇部ですから、成りきらないとね。


「うは、やばい! 可愛い~」


 堀木戸さんは両手を広げて、ガバッと私に抱きつ……きそうな手前で、ピタッと止まった。


「朗、その目、洒落になんねーって」


 堀木戸さんは引きつった笑いをすると、怖い怖い、と広げた両手で自分を抱きしめる。

 堀木戸さんの行動にビックリして見てなかったけど、朗先生、どんな顔してたんだろう……。覗いてみたけど、今はもう無表情に戻ってしまったようだ。
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