先生と王子様と演劇部な私。
 興奮覚めやらぬ中、私は間違えて講堂の裏に出てしまった。

 関係者以外立ち入り禁止の貼り紙が見える。


 あ、やばい。そう思ってクルりと回れ右すると、目の前に王子様が立っていた。




 さっき、舞台の上にいた王子様が、そのままの格好で。思わず、王子様、と呟いてしまった。



「ここは立ち入り禁止ですよ、姫」

 王子様が優しく微笑んで言った。黒く長めの髪が風で揺れる。

「す、すいません」

 私はドキドキしながら謝った。

「もしかして、今の劇、観て頂いてましたか?」

 私は頷く。
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