先生と王子様と演劇部な私。
「ご主人様、いかがなさいました?」

 今度は朗先生に、首を傾げてみた。途端に朗先生が嫌そうな顔をする。


「……それ禁止」


 あれ、怒らせちゃったかな~。ちょっと心配になったけど、堀木戸さんが朗先生を見てニヤニヤ笑っている雰囲気からして、大丈夫みたい。


 堀木戸さんは、あれ何? これ何? とちょこちょこ寄り道をしては、朗先生と私が付き合わされた。朗先生と見ているみたいで少し嬉しかったけど。


「この衣装、講堂に持ってって置きたいんだ~」


 やっと保管の教室に入ると、堀木戸さんがさっさと衣装を手にする。私はクローバーの宝石箱に目が留まった。


「……どうかしたか?」

 朗先生がすぐ横で一緒に宝石箱を見てくる。

 このブランド好きだったんですか? そう聞こうとしたけど、堀木戸さんがさっさと出て行ってしまったので、二人で後を追った。

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