先生と王子様と演劇部な私。

14:演劇部な私

 それから三十分くらいで朗先生が一人で戻ってきた。堀木戸さんはきっと、どこかで休んでいるんだろう。


 後少しで、王子様に会える。



 ――だけど!


 その前に、まずは自分の番だ。

 いよいよ演劇部の公演が始まる。



 集合時間は幕が上がる三十分前になっている。

 思いの外クラスのメイド喫茶を手伝えと言われず、早く解放された。エミは彼氏と回ると言うし、公演を考えると落ち着かず、先に講堂の中に来てしまった。


 まだ二時半……集合時間よりさらに三十分前なのでさすがに誰も来ていない。


 無人の舞台裏でみんなの衣装をチェックしたり、照明や小道具をチェックしてみたが、十分も掛からなかった。

 さすが、私ってば裏方のプロよね。


 暇になったので舞台に立って、客席をぐるりと見回してみる。



 広い。


 この沢山の席が埋まるんだ。



 想像した途端に……不安が襲った。

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