先生と王子様と演劇部な私。
「もう! なんで余計に緊張させるんですか!」

「覚悟しといた方がいいだろ?」


 確かにそうかも知れないけど……朗先生、絶対楽しんでるとしか思えないんですけど。


「何か緊張しすぎて、気持ち悪くなりそう」

 客席を見ないために、両手で顔を覆おうとしたとき……



 ――!!





 朗先生に、抱き締められた。



「せ、先生……?」


 先生の腕が背中に回り、自分が丸ごと包まれているのがが分かる。


「こうしてると、落ち着かない?」

 真上で、優しい朗先生の声が聞こえる。先生の息が頭にかかるほどの距離……。

「べ、別の緊張します!」

 心臓の音が客席にまで聞こえるんじゃないかと言うほど、大きく高鳴った。
< 175 / 238 >

この作品をシェア

pagetop