先生と王子様と演劇部な私。
「……話って何ですか」

 俺は懐かしみたくて来たわけじゃない。できれば、さっさと帰りたかった。


「実は、私妊娠したの」

「……おめでとうございます」


 由美先生が少しはにかんで、ありがとう、と微笑んだが、生憎あまり興味が沸かない話だ。


「単刀直入に言うけど、私が産休中の間の担任をお願いしたいの。プラス演劇部の副顧問」


「は?」


 何を言ってるんだ、この人は。大体演劇部顧問とか、よく言えたもんだ。


「副担任にお願いすればいいでしょう」


 俺が言うと由美先生は首を振った。


「副担任の先生はちょっと休みがちで任せれないのよ~」
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