先生と王子様と演劇部な私。
 知るか! 俺は席を立った。


「学校内の他の先生にお願いするか、他の人を斡旋してもらってください。俺は別に教員になりたいわけじゃない」


「時間がないから、悠長に斡旋を待ってられないのよ。お願いしてた人が急にこれなくなってしまって。それに産休後は帰ってくれなんて都合いい条件つけないといけないし」


 そんな事情知ったこっちゃない。確か、平だって働ける学校を探していたはずだ。


「堀木戸に頼めばいいじゃないですか」


「堀木戸くんはもう他の学校が決まっちゃったのよ。それにあの子は、継続を希望してるし」


 由美先生が溜め息をついた。


 平にはもうお願いしてたってことか。

 まぁ、俺と違って平は教員希望だ。先に話が行くのは当然だろう。


 ――だが、どうしても頭に浮かんでくる言葉。
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