先生と王子様と演劇部な私。
「ここ」

 トントン、と黒板を叩き、最低限しか喋らずに授業を進める。

 俺の担当科目は日本史だ。

 黒板に大量に文字を書き、生徒が書くのを待つ。


 ……。


 ……どうしても柚子に目がいってしまう。



 目鼻立ちが結構整っていて十分可愛い部類だ。

 なのに派手な化粧もせず、良い意味で極普通な高校生でいるところが何というか……見ているだけで癒される。



 ――パチッ。


 最近はこうして見ていると、柚子が視線に気付いたようにこちらを見るよになった。


 まぁ、俺が見過ぎなんだろうな。
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