先生と王子様と演劇部な私。
 見ているだけでは駄目なのは分かっている。


 話しかけたいのに、なかなか難しいものだ。


 女子高生って何で一人にならないんだ? 何か口実を作って呼び出すしかないのか?


 ――そんなことを考えていたが、チャンスは突然やってきた。


 俺が遅れて部活に向かっていると、前方の保健室から柚子が出てきたのだ。


 俺にはまったく気が付かずに歩いている。


 気付け、気付け。


 振り向けっ。





 なんて思っていたら。





「……」





 何かを感じたように柚子が振り向いたのには、本当に驚いた。
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