先生と王子様と演劇部な私。
 朗先生はまたスタスタと戻ってくると、私が座ってた椅子を強引に下げる。そして私の膝の上に鞄を乗せ……


「きゃっ!?」


 何が起きたか一瞬分からないままに、私は朗先生にお姫様抱っこをされていた。



「ちょっ! 先生っ……!」

 パニクって少し暴れようとすると、先生の低い呟きが耳に入る。

「黙れ」

 ひっ……!

「はっ、はいっ」

 思わず返事をしてしまった。何かとっても恐ろしい声を聞いた気がするんですけど……。



 大人しく抱っこされたまま、私は朗先生の車に運ばれた。ちょっとヒヤヒヤしたけど、外はすっかり暗くて誰にも見られてなさそうだ。
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