先生と王子様と演劇部な私。
 それから暫く車を走らせ、停まったのは小さな駐車場だった。


 朗先生が降りて、助手席のドアを開けてくれる。ごく自然に。やばい、何か、大人な男って感じでドキドキしちゃうんですけど。


 ドアを閉めると、先生は一軒の定食屋に入っていった。


 これはちょっと予想外……。


「ここ……?」

「何だ、不満か?」

 朗先生が眼鏡をまたクイっと上げながら聞いてきた。

「ううん」

 私は首を横に振る。


「変なレストランだったら緊張するし、安心した」

 私が笑うと、朗先生も口元を緩めた。今度はホントに笑顔だ。

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