先生と王子様と演劇部な私。
「今日はありがとうございました」


 家の前まで送ってもらったので、車の中でお礼を言った。

「どう致しまして。……また、お姫様抱っこで家に運んでやろうか?」

 朗先生はハンドルの上で組んだ腕に顎を乗せ、少しだけこちらに顔を向けてくる。


「け、結構ですっ。あんな恥ずかしいこと……」

 私が真っ赤になって答えると、先生はフッと微笑んだ。



「何か……」



 真っ赤になったまま私が呟くと、先生が、ん? と首を傾げる。



「今日は、今まで見たことない先生ばかり見た」

 私が言うと、朗先生は笑うのを止めた。気に障ったかな? 一瞬心配したけど、そうじゃなかったみたい。





「……もっと見たい?」

「え?」


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