先生と王子様と演劇部な私。
 衣装の保管場所は使われてない教室だ。


 先生が入った後に私が入ると、先生は扉を閉めた。閉めたら衣装運びにくいんですけど。


 扉を背に、すぅっと息を吸う朗先生。そして手をお腹に当てた。


 ん、これって……。


「お綾や母親にお謝りなさい、お綾や母親にお謝りなさい、お綾や母親にお謝りなさい、お綾や母親にお謝りなさい、お綾や母親にお謝りなさい」


 スラスラスラ、とハッキリ言い切る。

 いつもの渋い声じゃない。スパンと、通った声で五回も言った。


「……」


 す、凄い。思わず目を丸くしてしまった。噛むどころか、余裕さえ感じる。これは十回言っても大丈夫そうだよ。
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