先生と王子様と演劇部な私。
「どんだけ噛んだ?」

 そう言うと朗先生は親指を少し、私の唇の端から中に入れた。



 ひぇえええ1?



 指にビックリして自然と口を開くと、先生は顔を近づけた。ひぇえええ!


「うわー、血出てるぞ。これは痛いな」

 きゃあぁあ! だからっ、指がちょっと口の中に入ってるんですけど!!


 朗先生は眉間に皺を寄せて、痛そうな顔をしながら手を離した。


「うぅ」

 痛さと恥ずかしさで先生を睨みつけると、先生は何事もないように積まれたダンボールから衣装を取り出し始める。

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