先生と王子様と演劇部な私。
 朗先生は笑うのを止めて、眼鏡の中の目を細める。

「いつもってことか?」

 コクコク、と私が頷く。だって、私の前では普通に話すのに。



 先生は一瞬、止まった。


 言おうか迷ってる?




「面倒だろう?」

「へ……」

 先生が生徒と話すことを、面倒とはどういうことだいっ。
 呆れて言おうとしたけど……



「俺、元々ガキは嫌いなんだ」

 朗先生はさらりと言った。
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