先生と王子様と演劇部な私。
「朗先生、ヤンキーだったの? それに演劇部辞めたんじゃないの?」

「ヤンキーじゃねぇし。それは、そいつに無理やり連れてこられた時の写真だ」

 はしゃいで聞くと、朗先生が嫌そうに答えた。そいつって、堀木戸さんのことかな。堀木戸さんの笑顔を見ると、朗先生と結構仲良かったような気がするけど。
 辞めた部活だからあまり触れて欲しくないのかな?


 でも、この金髪を見ると……やっぱり朗先生はあの王子様とは違うんだなぁと実感してしまう。あの王子様はサラサラした黒髪だったもの。顔よりも、そういうことの方が記憶って残るものみたい。



「よこせ」


 私がツーショット写真に見入っていると、朗先生がパッと写真を取り上げる。

「ちょ!」

「……俺が預かる」

「そんなっ!」

 横暴すぎると思ったけど、朗先生の視線が学園祭の舞台写真に移ったのに気が付き、慌ててその写真を胸に抱いた。

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