先生と王子様と演劇部な私。
「こ、これはダメ! 絶対ダメだから!」


 宝物にするんだから! そう言って体を丸めると、朗先生が呆れたように溜息をつくのが聞こえた。


「写真、ぐしゃぐしゃになるぞ?」

 ハッと見ると、どうにか皺にはなってなかったのでそのままサッと鞄にしまう。朗先生は何も言わずにそれを見ているだけだった。こっちまで取られなく良かった……。


「すごい慌てようだな」


 朗先生が、私の頭にポンと手を置いた。それだけなのに、嬉しくて、恥ずかしくて……少し顔が赤くなったのを感じてしまう。



 先生を見上げると、とてもとても優しく微笑んでいた。


「朗先生……」




 私はつい、その笑顔に流されて口にしてしまった。さっきの嫌そうな顔を見ていたはずなのに。



「この堀木戸って人に、会わせてもらえませんか?」



 朗先生の動きがピタリと止まったのが、ハッキリと分かった。



「何故?」
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