先生と王子様と演劇部な私。
 朗先生の低い、低い声が響く。さっきまでとはまるで違う、地の底からのような声に背筋がゾクりとする。


「え……」


「……何で、そいつに会いたいの?」

 朗先生が少し下を見て、眼鏡をクイッと押し上げた。



 あれ……なんか怒ってる……?



「えっと……あの?」



 朗先生の右手が伸びて、私の後ろのロッカーがタンッと鳴った。先生とロッカーに挟まれたらしい。思わず一歩後ずさると背中がロッカーに触れる。近くて恥ずかしい、とか言う前に怖いんですけど……。



「……あいつに一目惚れでもした?」



「へ……」

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